読書感想
丹下健三・ルイス・カーンetc
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時代背景
小さな村落から始まったローマ市
紀元前753年に誕生したローマ市は、最初こそ小さな村落に過ぎませんでした。
ヨーロッパ全域へ領土を拡大
しかし、紀元前5世紀末までにはエトルリア*などの周辺都市国家を、紀元前3世紀中頃までには南イタリアのギリシャ植民都市を支配下に置き、紀元前1世紀末には地中海沿岸全域をほぼを手中に治めます。
エトルリア:古代イタリア半島に存在した文明です。紀元前8世紀から紀元前3世紀にかけて栄えました。
異国文化を吸収
領土の拡大は、エトルリア文化や植民都市経由での古代ギリシャ文化など、それまで自国にはなかった文化の摂取を促しました。
とりわけ、ヘレニズム期*の影響が大きく、ここから古代ローマ帝国の基盤が形成されていったといっても過言ではありません。
ヘレニズム期:紀元前336年に即位したアレクサンダー大王は、ギリシャ本土を出発し、アジア、エジプト、ペルシアなどの広大な領域を征服しました。この征服により、東方と西方の文化が接触し、ヘレニズム文化が生まれました。
古典主義の確立
ローマ人は、ヘレニズム文化から学んだものを彼らなりに消化し、ここから西洋美術の根幹となる古典主義を確立していったのです。
特徴
古代ローマ文化の性格
古代ローマ文化の担い手であるラテン人は、理論的であるよりも実践的な民族でした。
そのため、建築造形の源を古代ギリシャに求めながらも、それは隅々まで繊細に研究されることはなく、むしろ全体的な秩序を大まかに印象付けるのでした。
古代ローマの持つ多様性
また約10世紀もの間、ヨーロッパのほぼ全域という広大な範囲を時間的にも地理的にも支配していた古代ローマ帝国には、多様なものを併存させていく寛容さや多様性を統合する構成力を備えている必要がありました。
造形・表現
アーチ構法とオーダーの融合
コロッセウム
アーチ構法とオーダーを融合するという展望は、ヘレニズム期からの切望の一つでした。
アーチ構法
ティトゥスの凱旋門
アーチ構法とは、石材を積み重ねて、曲線状のアーチを作る構法です。水平方向の荷重を垂直方向へと分散することができ、大きな力に対しても強度を維持します。これによって、大きな空間を作り出すことができるようになりました。
オーダー
パルテノン神殿
オーダーとは、比例に基づいて柱と梁を秩序的に構成することで、調和的な美を形成する手法です。
ヴォールト構法
この時代、帝国や皇帝の権威を誇示する大規模な建造物が各地で建てられました。その際に用いられたのがヴォールト構法です。
パンテオン
ヴォールト構法とは、石やレンガ、コンクリートなどの素材を曲面状に積み上げていき、強度や美観を持ったアーチやドームのような形状を作り出す構法です。大きな空間を作り出すために用いられました。
中心を象徴する、球体表現
また球体表現には、ローマ世界の中心としての象徴という意味合いもありました。
古典主義
西洋建築の礎である古典主義は、この時代に完成されました。アーチ・ドーム・左右対称性・正面の重視・直線的なデザインなどが挙げられます。
参考文献
西洋建築入門|著.森田慶一|東京大学出版会
建築の歴史|編.西田雅嗣・矢ケ崎善太郎|学芸出版会
西洋建築様式史|著.熊倉洋介・末永航・etc|美術出版社
美術史〈西洋〉|編・中山公男 中森義宗|近藤出版社
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